2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧
モーショングラフィックスの雄、細金卓矢の個人作品。驚くなかれ。本作の発表は2010年だ。正方形の画角、有機的なカラーリング、3DツールにはCinema 4Dが取り入れられ……(繰り返すが、7年前である!)。当時これを観た時は、細金の他の作品と比べるとやや難…
GIFアニメーションのカルチャーが「WEB系アニメーター」を生み、2ちゃんねるのFLASH・動画板が「PV系」……のちの「MG系」と呼ばれるモーショングラフィックスのカルチャーを育て、After Effectがアマチュアクリエイターにも浸透し、ニコニコ動画がVocaloidを…
モーショングラフィックスはまったく専門分野ではないので、より詳しい方が丁寧に説明してくださることはきっとあると思うけれど……。ここ数年で、抽象絵画のようなアプローチがメインストリームだったモーショングラフィックスに、急激に具象的なアニメーシ…
いわゆる「WEB系アニメーター」であり、特にエフェクトアニメで世に知られるようになった早熟の天才・らっパルが、2015年に突如発表した短編作品。その内容は、彼のこれまでのフィルモグラフィと連続性がありながらも、想像を絶するほどの圧倒的な飛躍を遂げ…
根っからのインターネット・ネイティヴであり、「WEB系アニメーター」に影響を受け、小学生か中学生か……という超早熟な段階から(自分も小学生からだけど)作品数を重ねたらっパル。ストーリー性はどちらかというと希薄なほうで、とにかく動かしまくり、派手…
いわゆる「WEB系」アニメーターと呼ばれる人々がいる。テレビアニメなどの商業アニメーションを手がける原画マンは、通常、まずスタジオに採用され、現場に動画マンとして放り込まれる。そこで何年も下積みをし、キャリアアップしていく……。そんな数十年の伝…
機能美pは現在、年に一度行われる上映会、FRENZを中心に新作を発表している。新宿ロフト・プラスワンを二日間に渡り借り切って行われるこのイベントは、間違いなく「日本一熱狂的な映像上映イベント」だ。観客のテンションの高さ、一方での礼儀の良さ、上映…
「キネティック・タイポグラフィ」と銘打たれた、文字を画面に大胆にあしらう作風で観客を熱狂させる機能美p。昨日紹介した傑作『月は無慈悲な寄席の女王』の翌年、機能美pは早速、新たな挑戦を企てる。 『Clade over 〔クレード オーバー〕』で描かれたの…
さぁ、とんでもない一本を紹介しよう。 この作品を最初に教えてくれたのは、ひらの君だ。「これ見たことある?絶対好きだと思う」と、LINEか何かで送ってくれた記憶がある。後で調べたら、その年初めて僕がFRENZ2012という上映イベントに出展したとき*1、別…
あ!あった。14夜で取り上げた作者不詳の『banging the drum』の作家さん、YouTubeチャンネルをみつけたぞ。おそらく作り手が同一人物と思われる作品が、もう一本だけ出てきた。タイトルは動画情報によれば『動物園』とあるが、作中では『いきたいところ』と…
青木純は、卒業制作となった『スペースネコシアター』以降、商業制作、公開制作やワークショップなどで新たな作品を重ねてゆくことになる。その中から、僕が特に好きな作品を一つ挙げる。 インターネットではもう見れないのだが……NHKのテレビ番組『サラリー…
あなたがもし「アニメーション」を作りたくなったならば、まずどんな内容のものを思い浮かべる? キャラクターが動きまくるバトルアクション? 瑞々しい高校生たちの引き裂かれるような青春劇? 重厚なストーリーが展開する近未来SF? それとも寝静まった夜…
出ました! 青木純の代表作。どてらを着た猫が六畳の和室でコタツに座っている。という謎の絵力もさることながら、可愛らしいタイトルとのギャップが激しい冒頭のインパクトたるや、すさまじい。青木純のどの作品もそうなのだが、音の演出がこの作品でも実に…
青木純の作品を観ていて思うのが、制作期間的な制約から、ちゃんと中身を縛って、それをストーリーにも確信的に反映させていることだ。『走れ!』『テレビ』『Apartment!』は、実は制作期間もとても短いし、ワンカットもの、最小限カットものの作品になって…
「アパートもの」は、わりかし学生が思いつく中では「あるほう」の作品だと思う。自分が卒業した代も含めて、他にも数作品見たことがある。こういう作品が往々にして弱くなってしまうのは、「主人公が不在」になりがちだからだ。結局、主人公を決めきれない…
このブログでも必ず時間を割いて紹介することになると思う、歴史的傑作――『ホーム』から数ヶ月後、青木はひとりで再び人形アニメーション制作に乗り出す。アイデアは極めてシンプルだった。ワンカットでみせる、「テレビの中に閉じ込められてしまった男」……。…
「これからまだ記事を975本も書くのに、もう青木純か!? 早すぎるんじゃないか!?」的なツッコミ、ようく判ります。でもだめだ! とにかく手をつけないと始まらない……。とっておいてもしょうがない……。 青木純が「自主制作アニメーション」の王道であり、…
一つの強いアイデアが、語り草になる作品がある。井端義秀の『夏と空と僕らの未来』なんて、正にそれだ。 作品が始まると、マンガのコマ割りがあらわれる。その中に登場人物が駆け込んでくる。今で言う「モーションコミック」風の演出……最初だけは。作品の設…
前作『山田君ロックンロール』で、会場に集まった観客に手拍子を促す「参加型」アニメーションを提唱した熱湯。彼はこの作品で、さらにとんでもないことを企む。作品が始まると、(『フルハウス』みたいな)いかにものアメリカン・ファミリーがテーブルに座…
熱湯がもうひとつ革新的だったのは、このころ勃興していた「オンライン上映会」に(この作品で)新しいアイデアを吹き込んだことだ。インターネット上にアップされたものを各自のPCで見ながら、2ちゃんねるの専用スレッドに感想を書き込み、たまに誰かがブロ…
FLASHというジャンルで活躍していた、熱湯の代表作といえる一本。まるで小演劇のような一幕モノで、居間のちゃぶ台を中心に、とある一家が座っている。まずは父が話し始める。「毎度お馴染み家族大喜利……司会のお父さんです」。誰一人クスリともせずに、淡々…
インタラクティブな仕掛けで映像を2パターン見せるやり方は、ビデオ作品では少々誘導が難しいんだけれど、この作品は最初にふたつのボタンがあって、クリックしたほうが再生される仕組みになっていた……ので、とても入りやすかった。全く同じ内容のアニメーシ…
まったく別件で、他の方にこの作品を紹介する機会があって、改めて……ずば抜けて面白いコンセプトの作品だなと思ったのだ。アニメーションが始まると、ATMを模した画面があらわれる。しかしどのボタンを押しても、ATM内の受付係の彼女はお金を引き出させては…
FLASH作品をここで取り上げるのは少々躊躇する。今や動画もスマホで見るのがほとんど。だけどFLASHだとスマホじゃ再生できないし、ここにも埋め込めないし……。ということで、興味が出ましたらググって頂けたらと思います。熱湯(さん)の作品はファンも多い…
たぶん、山田園子の代表作と言えばこちらになるのだろう。非常に丁寧なコマ撮りアニメで、おばあちゃんがリンゴを切る様子を4分間、淡々と描いた作品。音の設計も素晴らしいし、何より、これもまた「感情」や「手触り」に重きを置かれていることが素晴らしい…
昨日紹介した作品と、あした紹介する作品から比較すれば、やや初期っぽさを感じさせる山田園子のフィルムのひとつ。優れた才覚を持つ作家は、「感情」を届けようとする、という所に一つの共通点があると思う。圧倒的なグラフィックでも、声高で暑苦しいメッ…
前の記事に続き(また?)、音楽とそのメッセージが素晴らしいショートアニメーションが、これ。もうめちゃくちゃ、もう、めちゃくちゃ大好きなんですよ……。出会ったのはもう6年以上前、『こわくない。』を何かの専門学校のコンテストに出して、その公開講評…
前の記事に続き、ところでブッチャーズといえばもうこれ! これですよね!! という作品。こちらはbloodthirsty butchersの公式MVで、漫画家の長田と映像作家のイシバシがタッグを組んで(どういう分担だったかは判らないけど)作られた名作。何とイシバシの…
前の記事に続き、こちらも完全に作者不詳の作品。bloodthirsty butchersの楽曲『banging the drum』にアニメをつけた作品なんだけれど、これも無性に大好きで……。とてもミニマムなアニメーションなんだけれど、やたらドラムが正確かつ丁寧に描写されているこ…
長らくこうして色々作品を見ていると、「コンテストに応募されておらず、グループ展の情報もなく、作者のホームページもなく、SNSなんて普及するはるか前」であるが故に、作品だけがポーンとネットに上げられているが作者名すらよくわからないような作品と出…