ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『テレビ』青木純【27夜目】


このブログでも必ず時間を割いて紹介することになると思う、歴史的傑作――『ホーム』から数ヶ月後、青木はひとりで再び人形アニメーション制作に乗り出す。アイデアは極めてシンプルだった。ワンカットでみせる、「テレビの中に閉じ込められてしまった男」……。

秀逸なのは、やはりテンポがいいこと。実際には、カメラのレンズに頭をぶつけているはずがないのに、効果音でそれを補強しちゃんと伝えているので、結果的にこれがリズムを作り出している。映像としても、「人形アニメーション」という、必ずカメラのレンズを意識せざる終えない環境で作ることに、作劇上の一種の必然性があるのがうまい。わたしたちがのぞいているこのカメラのレンズすらも、一種の「入れ子」になっているのだ。

この作品は特に……だけれど、ウェブサイトに詳細なメイキングが載っているのも嬉しい。ちゃんとこういうのを残しているのが素晴らしいです。