ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『bridge』山田園子【16夜目】

前の記事に続き(また?)、音楽とそのメッセージが素晴らしいショートアニメーションが、これ。もうめちゃくちゃ、もう、めちゃくちゃ大好きなんですよ……。出会ったのはもう6年以上前、『こわくない。』を何かの専門学校のコンテストに出して、その公開講評か何かで色んな作品が流れていた中の、そのひとつに入っていたのだ。何年も経ってから、YouTubeで再会できた日に、ぼろぼろ涙が出たことも忘れられない……。

気がつけば、わたしは崖の前にいる。その向こうに次の大地があって、そこには美しい黄色い花が咲いている。横を見れば違う誰かがいて、自分ひとりが渡るための「橋」を一心不乱に作っている。まるで真似をするように、わたしも土を集めて、水をすくって、金槌を振るい、汗を流しながら無我夢中で「向う側」への橋を架けようとする。一心不乱に。ただ一心不乱に。何の支えもないその「橋」は、重みに耐えかねて、周りの命たちと共に次々と崖の下へと落ちて行く。ぎゅっと目をつぶって、わたしはそれでも願うように、祈るように、金槌を振るい続ける。けれど次の瞬間、わたしの「橋」にはヒビが入って、わたしもまた奈落の底へ――。

自分の一生のすべてを懸けた、その橋がたとえ届かなくても、人はいつまでもひとりぼっちの洞窟には篭っていられない。どこに逃げてもわたしはここにいる。たったひとりでここにいる。もう夢が叶わない、その緑の大地を、わたしは思いきり走り抜けて――

こうやって書いてて、ほんとに涙が溢れてくる。こういうものが作りたかったんだよ、結局、僕は。菅井宏美による音楽もいい。「一つの私」、iTunes Storeで買っちゃったもんね……。

作者の山田園子は、この他にも素晴らしい作品を残している。