ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『ほかほかおでんのうた』細金卓矢&山下清悟【40夜目】

モーショングラフィックスはまったく専門分野ではないので、より詳しい方が丁寧に説明してくださることはきっとあると思うけれど……。ここ数年で、抽象絵画のようなアプローチがメインストリームだったモーショングラフィックスに、急激に具象的なアニメーションの流れが持ち込まれるようになってきた。この映像は2012年の作品だけれど、このあたりでその傾向が決まってきたような気がする。

ローソンのおでんのCMとして制作された『ほかほかおでんのうた』。「WEB系」アニメーターで知られた人物のひとり、山下清悟と、日本で最も有名なモーショングラフィックスの作り手である、細金卓矢がタッグを組んだ作品。昨日まで紹介していたらっパルも、絵コンテで参加している。ロトスコープのようなゆらゆらの動き、湯気、そしてシズル感のあるアニメートがたまらない。音楽も可愛らしいけれど、この音楽の「感じ」を最大限に引き出す、とてもミニマムな演出プランというか、作品の方向性のゆるさが、実に鋭いと感じさせられる。この辺りの配分は、細金卓矢の腕の力が大きいだろう。

細金卓矢は「2501」名義で、かつて2ちゃんねるFLASH・動画板に出入りしていた「FLASH職人」だった。彼が特別たる所以について、あえてフィルモグラフィを遡る形で紹介してゆく。