ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『SPACE SHOWER TV 「アニソン日本」』らっパル【37夜目】

いわゆる「WEB系」アニメーターと呼ばれる人々がいる。テレビアニメなどの商業アニメーションを手がける原画マンは、通常、まずスタジオに採用され、現場に動画マンとして放り込まれる。そこで何年も下積みをし、キャリアアップしていく……。そんな数十年の伝統を打ち破ったのが、「WEB系」アニメーターの登場だ。自分のサイトや投稿サイト、2ちゃんねる等のスレッドに自分のGIFアニメーションを投稿し、時には「作品」とよべる長さのアニメーションも発表。そこからテレビの現場に直接スカウトされ、基本的にはいきなり原画デビュー……! より厳密にいうと、いろいろ違いがあるみたいだけれど、そんな新しい流れが現れたのは、僕のちん毛がちょうど生え揃い始めたころ……2000年代初頭になってからだ。

特徴的(らしい)のが、他の「普通の」テレビアニメ的原画と違い、とにかく派手に動かすことが好きなアニメーターが多いこと。仕事ではなく、自分の好きなように……かっこいいように動きを作ってゆく経験から入っているから、結果的にかなり派手なアクションやエフェクトを描くことが、好きなひとが多くなる傾向にあるみたい。もちろん、一概には言えないようなのですが。

そうした「すごい人たち」の「GIF」アニメに影響を受け、趣味の延長からやがてテレビアニメでもキャリアを積んでゆくようになる……。昭和ラスト世代の自分にとっては、それはネット上でリアルタイムに見てきた、正にドンピシャの景色だった。「WEB系アニメーターに影響を受けたWEB系アニメーター」は自分の同い年にもたくさんいる。彼らはスタジオに入っていたり、あるいは在宅で仕事をこなしている。TwitterのDMで連絡を取り合うということも、しばしばらしい。

そして、そんな「GIF」アニメの世界に、恐ろしいほどに幼い頃から触れてきた作家……(長くなってしまった!)らっパルも、その中の一人だ。僕よりもさらに下の世代にあたるらっパルは、中学生の頃からYouTubeに作品を投稿し、アフターエフェクトを使いこなし、当たり前のようにデジタルツールに触れた「新時代」の人。らっパルは商業作品の原画もこなすが、このように、広告案件などで丸ごとディレクションする作品が目立つ。そのどれもが完成度も高く、映像の快感がバーンと貫かれているものだ。ド派手なエフェクト、動かしまくりのアニメーション! かつて幼い頃、すごーい、とCRTモニタを見上げたあの「感じ」のアニメーションは今、サブカルチャーのど真ん中で、花開いている。