ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『さよならをしること』(作者不詳)【13夜目】

長らくこうして色々作品を見ていると、「コンテストに応募されておらず、グループ展の情報もなく、作者のホームページもなく、SNSなんて普及するはるか前」であるが故に、作品だけがポーンとネットに上げられているが作者名すらよくわからないような作品と出会ったりする。これもその一つ。油画調で描かれたグラフィックの上にさらに厚塗りを重ねてゆく手法(ぬQさんと一緒ですね)で、ひとりの少年がその夏に出会い、そして別れるまでの命の旅路をファンタジックに描いている作品。特に後半の、風が吹いて光満ちてゆく様は圧巻で、心震えるほどの迫力がある。せつない……。ずいぶん経っても、時々思い出したように見たくなる作品。けれど作者が完全に不詳で、<3年前学生の時制作したアニメです>としか説明文にも書かれていない。たしか当時調べたら、多摩美かどっかの学生さんだったことまでは突き止めた記憶があるんだけれど……。うーん。

音楽もいい。とても丁寧に、真摯にモチーフ(やテーマ)と向き合いながら作られた作品だと思う。どこかに応募していればよかったのに(してたのかもだけど)。きっと、大スクリーンで映えたはずだ。