『公園のトロイ』matsumo【93夜目】
ここ数日取り上げてきたアニメーション作家・matsumoの、現時点で最新シリーズとなるのが『公園のトロイ』だ。FLASHベースだったこれまでの作品から、本作より完全にツールを移行させていて、全編が3DCGで制作されている。
この第三話と第五話、どちらを貼ろうか迷ったけれど……結局両方とも貼っておく。15年以上のキャリアの中で、本当にずーっと一環して作り続けられている、matsumoの作風がこの2本には詰まっている。見る人を楽しませること、あっと驚く仕掛けを加えてゆくこと、自分のなかの「美しい」を最大限の力でスクリーンに解き放つこと……そのどれもが、アニメーション制作にとって大切な、普遍の法則そのものだ。改めて(15年スパンでいえば)大きく途切れることなく作り続けている、そのアーティストとしてのバイタリティは、本当に尊敬に値する。そして実に内容がブレていない……第三話では『それいけ!おやぢ』と全く同じネタをやってて笑うし、第五話では『犬小屋の世界』から脈々と続くmatsumoの「夜空をどこまでも飛んでゆく」ロマンチズムが凝縮されている。こういう、たぶん多少ほっとかれていても(笑)どうしようもなく作り続けられてしまう、「しなやかで強い作家」こそ、もっともっと届くべきところに届いて欲しいと思うのだ。
matsumoは現在、熱狂の映像上映会「FRENZ」などで作品を発表。そして同人誌即売会・コミティアでオリジナルアニメーションを発表するサークルが集う「アニメ部」にも毎年参加して下さっています。