ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『それいけ!おやぢ』matsumo【89夜目】


それにしても*1、matsumoの絵柄は独特だ。たぶん他の作家に紛れていても、この絵ひとつでmatsumo作品だと判るくらいの個性があると思う。彼のこの絵柄のオリジナルがどこにあるのか……とても判りやすい作品を紹介したい。

昨日紹介した『犬小屋の世界』よりも前のフィルムにあたる『それいけ!おやぢ』シリーズは、matsumoのクセのある作風がガツンと表に出た作品で、こういう笑わせ方に当時フックがなかったので、中学生(小学生か?)の自分はそれほど好きではなかった(笑)記憶がある。けれど改めて見返して、そして『犬小屋の世界』と続けて鑑賞して思ったのが……ものすごく感じられる80’の香りだった。80年代後半のツッパリ的なキャラクター造形や、なめ猫的なアプローチ、そしてこのギャグのノリも、絵柄も(!)、 僕自身はリアルタイムで経験していないけれど、とても80年代的なサブカルチャーの要素で溢れている。そして昨日の『犬小屋の世界』もまた、『E.T.』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなスピルバーグ的雰囲気が濃厚に感じられることに気付いただろう。

だからmatsumo作品は、一貫して「人を楽しませる」、アイコンとしてのエンターテインメントを送り出し続けることが出来ているのだと思う。

犬のキャラクターと猫のキャラクターが登場することが多いmatsumo作品だが、そうなると「おやぢ」もまた、一つのmatsumoにとってのアイコン的なキャラクターなのだろうか……。

*1:確か、面と向かってこれをご本人にお伝えしたことはないと思うが……