ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『Look at Me!』飯田千里【87夜目】


騙されたと思って、フルスクリーンで観て欲しい。スマホ? だめだめ。家で一番大きなモニタテレビを用意して下さい。

藝大院の卒展で、初めてこの作品をスクリーン鑑賞したときの衝撃が凄かった。めちゃくちゃ大画面映えしていたのだ。大きなスクリーンにふさわしいアニメーション作品って……緻密に描き込まれた背景美術や美しすぎるキャラクターの作品、CGばりばりのチャンバラ・サイエンス・フィクション、あるいは作家の手触りが伝わってくるような「紙」に特化した匠の極み的アーティスティック作品……だとばかり思っていた。けれど、この作品には驚かされた。YouTubeで観ると、一件コンパクトに思えてしまうんだけれど、これが大スクリーンで解き放たれた途端……その動きの大迫力ぶりに圧倒され、極彩色のグラフィックはさらに映え、完璧にシアターを支配していた。飯田作品では『JAM FISH』のようなセンスの光る作品が僕は好きだけれど、スラップスティックなカラーの色濃い『Look at Me!』は、ぜひ大画面で見るべき作品だ。とにかく大変身していたのだ。むしろ、それを想定して作られている映画なのではないか。

ラグタイム風BGMからスタートする感じも、昔ながらのアニメーションを意識していて楽しい。「脱ぐんかい!」「パ◯◯かい!」みたいな子どもがワーキャーする仕掛けもたくさん盛り込まれている。オチもいいよね。女子高生って、選べないのだ。