ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『endless summer』ONIONSKIN【82夜目】

自分は、『フミコの告白』〜『Airy Me』の辺りで、『ほしのこえ』『ホーム』以来続いていた日本の「自主制作アニメーション」の系譜は“一旦”途切れていると思うんだけれど、この作品に携わる小野ハナは、正にその「途切れた後」から頭角を現した、今イケイケの作家さんのひとりだ。小野ハナは当時、ONIONSKINのメンバーとして、本作の制作に中核で携わった。

Vampilliaの圧倒的な音楽の壮絶さは言うまでもなく、どのカットからもびりびりと痺れるような、吐きそうなくらいに恐ろしく切実な情景がある。一匹の蝉がモノトーンの夏空を飛んでゆく。そうすると、向日葵畑を駆ける二つの虫取り網が見えてくる。しかし画面は上昇し、暗く淀む深淵の湖へ。少年は「そちら側」へと踏み入れるために、自分の掌にナイフを突き立て――。

炎上する教会、突き刺さる十字架、ランタン、その先にある“あの日”の向日葵畑、握っていたはずのてのひら……。どのモチーフも、あまりにも強力だ。観ているだけでドスドスとぶん殴られ続けてるみたいだ。

不気味で、なのにどこかさびしくて、愛嬌のあるキャラクターたちのデザインは特に素晴らしい。多くを語らないストーリーも見事だ。最後、ほんとうに最後、少年に表情を「つけていない」ところが超グッと来る……。画面を見つめる、たったひとつでも何かしらの救いを探し出そうと画面を見つめる鑑賞者のことを、実に実によく判っていると思うのだ。

ただこれ……ホントにこれって「小野ハナ」の作品であって、どのへんにONIONSKINのディレクションが入ってるのかがさっぱり解らなかったんですよね……。前回・前々回の作品と、内部で繋がっているものがまったく存在しないのだ。ONIONSKINというクリエイター集団が、何だかよく解らなくなった作品でもあった。その共通点とは一体どこにやら……(その答えは2日後に!)。