『quino and the MudRock』ポエ山【135夜目】
きのう紹介したアニメーション『quino』の外伝的作品。舞台は『quino』からXX年後、再び砂漠でひとりぼっちになったquinoが、この大地に住まう「とある存在」と出会うストーリーだ。雑誌上で連載されたものをまとめた、連作短編アニメーションになっている。
『quino』本編でその片鱗を見せつつもFLASH上で表現するにはまだ追いついていなかった(かもしれない)、ポエ山の卓越した美術センスがここでは見事にスクリーンに定着している。細やかな作り込みや「泥の存在」たちのダイナミックなアニメートは見ごたえがあり、繊細な物語にすばらしい躍動感をもたらす。『quino』も確かにそうだったけれど、寓話的な……絵本的な感じがさらに増していて、不思議で魅力的な質感がある作品だ。
セリフがないだけに、ポエ山自身が作り込んだ音楽がここでも雄弁に物語を紡いでいる。もー、これがまた本当にすっばらしい。ずーっと聴いていたい……。
ちなみにこの作品をポエ山のHP上で鑑賞すると、本編を観る前と後でメニュー画面の画像が変わるのだが、こういうところのセンスや「気をくばれる」ところとかもポエ山の魅力だったりするのです。なかなか“この感じ”を出せる表現媒体って減ってしまったなぁ……。動画サイトが普及してしまった弊害だと思う。