ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『5iVE STAR』2501×森井ケンシロウ【44夜目】


歴史的傑作『日本橋高架下R計画』で、アニメーションとモーショングラフィックスの境界線を突破し、現在まで続くカルチャーを作り出した細金卓矢。彼のその原点と言えるのが、まだ彼が2ちゃんねるFLASH・動画板のコテハン「2501」だった頃に制作された、この作品だ。同じくFLASH・動画板に出入りしていた、当時はFLASHアニメーション作家だった森井ケンシロウ(現在は漫画家としても活躍)とタッグを組んだもので、その頃はこうしてモーショングラフィックス作家とストーリーアニメーション作家(下らない……)がコラボすること自体、かなり新しいものに感じられたものだ。

ワクワクするような冒頭。プラグが刺さった瞬間の圧倒的な幸福感。まるで砂場で遊んでいるみたいに、唐突かつ暴力的に差し込まれるアニメーション! 平面的なことが当たり前だったFLASHアニメに有機的な暖かみを加え、それまでのどの「モーショングラフィックス」にも無かったキュートなポップさを持ち合わせていた作品だった。正直、周囲のどのMGよりも圧倒的なずば抜けぶりだったと思う。最後に訪れる、風のような疾走感は特にたまらない。鼻の奥がツンとするようだった。

当時、矢印がぎゅーんって動くことが「モーショングラフィックス」のお約束の一つだったんだけれど、それをこうして一枚一枚、まるで龍のように生き生きと描き出してみせたことも衝撃だった。2501は何歩も先を行っている……。そう感じさせざるを得なかったものだ。

この『5iVE STAR』は本人たちの手で一度リメイクがされていて、クレジットはその頃より「2501」から「Takuya Hosogane」に修正された。ちなみに2501時代の作品まで遡り始めると、本当にキリがなくなるので今は止めておく……。500か600くらい行った時に、FLASH作品はまとめて一気に取り扱うつもりです。1、2年くらい先のことだろうけれど……。