ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『Jupiter19078』鈴木純郎【118夜目】


一体どうやってこの作品を知ったんだっけ……。経緯は忘れてしまったけれど、その内容は決して忘れられない短編アニメーション。木に(ネットによると、松らしい)カンナをかけて、その表面を1枚づつ地道にコマ撮りしたものだという。

まず、こんなにも木目が有機的な動きをすることに驚かされる。そうか木の黒点ってこう見ていくと動きまくるんだなとか、模様はゆっくり変わっていくんだとか。そして次第に、作家自身にも誘導されるように、それこそ木星の大気とか、水面の動きのようにも思えてきてしまう。ただし、たとえそこまで具体的な何かに頭の中を寄せなくても、ただ漠然と眺めるだけで不思議と魅了される映像になっていると思う。

木、という、固くてアニメーションには不向きに思える素材が、これほど有機的な表情を見せている……そのギャップが魅力の作品。作者の鈴木純郎は、造形作家であるという。