ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『BONNIE』岡本将徳【115夜目】

岡本将徳は「光の作家」でもある。アニメーションに、自然光の美しさを意識的に取り入れることが多い。『BONNIE』は、自身の研究テーマである「コマ撮り」を撮影スタジオの外にまで持ち出した意欲作だ。

岡本をはじめ、いくつかのアニメーション作家が持っている素晴らしい哲学のひとつに「決してスタジオに篭ってはいけない」……とでも呼べるようなものがあると思う。アニメーション作家が作り出すものは、決して作家の中で完全に閉ざされてはならず、鑑賞者の日々・日常時間の中とどこかが接着していなくてはいけない――とでも言うような……。竹内泰人やトーチカとかもそうだと思うけれど、絶対的に「わたしたちが見知っている」ものから離れないようにする岡本の哲学、「スタジオを捨てよ、街へ出よう!」みたいな感じがこの作品からは溢れていると思う。特にこの作品のアプローチはそれが明確だ。「光の作家」たるゆえんは、たぶん、そこにもある。

応用の効くキャッチーな内容だったこともあり、当時のSONYがタイアップをとって『'Ho-Ho' This message is boiling hot.』という新編で商業展開したことでも知られる本作。岡本の代表作のひとつとなり、最近だと、日本財団のTVCMでこのときの作風に近いものを展開させている。