ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『さよならスペースシャトル』浜根玲奈・岡本将徳【117夜目】


岡本は現在に至るまで、数々のクライアント・ワークでも見事な手腕を発揮している。その中から、ひとつご紹介。

立体と2Dの使い分けが素晴らしい。現実に接続されたマテリアルの選択と、ある種の妖精的な存在であるペラ紙のキャラクター。それらが動き回って、融合して、そうして表されるその「夢」の見せ方は、『BONNIE』のような岡本の過去作品とも通じるものがある。ほんとはフル・バージョンがネットにアップされていたんだけれど、今見たら非公開になっちゃっていたな……。

情熱と、執念と、そして「現実」から決して離れない見事な作品哲学で、アニメートとこちらの世界をHDMIケーブルで直接接続する岡本の作風は――例えば広告の方なら少なからず常に意識することだと思うんだけれど、たとえそうでなくとも、若いアニメーション作家さんとかが見て頂けたらいいんじゃないかなぁ……と、すごく勝手に思ったりもする。表現者としての(人間としての)目線を、しっかり外側の世界へ向けられるということ。それは案外、一種の才能なのかもしれないですね。