ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『mindscape』北村みなみ【111夜目】

今回、北村みなみの記事を書くにあたって、北村のVimeoアカウントを掘り下げていたら……一番下のほうにこの作品がアップされていた。おそらく、だいぶ前のものになるのだろう。再生して10秒で「あっ、学生のころの作品だな」と思って、まあいいかとブラウザバックしようとして、確かにそうしようとしたはずなのに、気がつけばどんどん作品に引き込まれてしまった。

イラスト・写真・コラージュも交えて、頭のなかと音楽のなかをどんどんとザッピングしてゆく。それぞれの技法やイメージが、決して洗練されてはいないけれど、とにかく次々と繰り出されてゆく。実際、ものすごく手数が多い。そして作家自身が、己の直感を信じていることがよく伝わる。それがとてもパワフルに感じた。そして何よりも、この作品を支えているのは音楽との見事なシンクロだ。そうだ! 絵柄の共通点こそほとんどないけれど、確かにこれは北村みなみの作品じゃないか。『The Great Little Journey』で、『baby baby』で見せていた素晴らしいテンポの良さ、リズムの捕まえかた、そして軽快さのセンスが、本作からは確かに感じられる。だから十分、最後まで楽しめるんだと思う。

こういう、いろんなスタイルをばーっと見せる作品は、そのとき受けてた・見てた授業とかにビシッと影響を受けた大学生や高校生が作りがちだと思う。僕もそうだった。けれどそれでも隠せないのがこのセンスの良さ……。北村みなみは絵がかわいい、絵がかわいいと……書き続けてしまったけれど、決してその作家のジーニアスは一つに留まらない。北村みなみの場合は、例えばここにもあるのではないか。

それにしても、コンセプトによく合ったいい音楽を引っ張ってきてんな~と思いつつ北村のウェブサイトを読んでいたら、ナントこの楽曲すらも、北村自身が作り上げたものだという。ウ、ワーオ!!