ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『そうじきとおんなのこ』飯田千里【85夜目】

飯田千里は、とびっきりユニークなアニメーション作家だ。

ぶっとい線、記号的かつ親しみやすいイラスト、ビビットな色彩、そしてものすごくシンプルかつ……エンタメ感の高いストーリーテリング! こういう、ごく初期の作品から既に「観ている人を意識して」いて、尚且つ「それに応えようとする」サーヴィス精神があって、そしてそれを達成することが出来る「才能」(あるいは「天性も含んだ技術」)をも持ち合わせた作家って、実はそう多くない。さらにさらに、老若男女、誰に見せてもその「キーワード」を共有できるものが作れて、そしてそれが同時に作家の「作りたい」ものにもなっているって、これはもう……素晴らしいことだと思うのだ。

誰にでも共感できる「部屋の片付け」を皮切りに、なぜか山村浩二みたいな超ダイナミズムあふれる展開にまで駆け上がっていくアニメーション作品『そうじきとおんなのこ』は秀作だ。飯田の描きすぎないイラストからは、その大胆不敵さすらも、一種の迫力になってこちらに伝わってくるようだ。

今回初めて知ったのだが、この『そうじきとおんなのこ』……何と高校の卒業制作だとか。ワオ!