ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『魚に似た唄』竹内泰人【12夜目】

竹を割ったようようなポップさが特徴である竹内(さん)のフィルモグラフィーの中では、もしかするとちょっと珍しめかもしれない、やや内向的な印象のある作品。空き家の六畳部屋に全長2メートル以上もある巨大な人形を作ってコマ撮りした映像はインパクトがあるし、その後、ちょっと不穏な空気を漂わせて鑑賞者をギョッと(魚っと……)させたあと、また部屋全体を使った豊かなアニメーションを楽しませてくれるのもいい。雨の表現が素敵だ。こういう作風のほうが好きです、という人も、もちろんいると思う。

この作品から十年ほど経った2015年。藝大院の卒制でこれと似た技術が使われたコマ撮りアニメーションがあって、そちらもすごく良かった。坂上直の『その家の名前』という作品で、こちらはもう使われていない空き家を丸ごとぶっ壊しながら撮影されたもので、とんでもないインパクトがあった。その年のイメージフォーラム・フェスティバルで大賞をとったらしい。こちらも観る機会があればぜひオススメしたい。