ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『星宿海』丸山薫【107夜目】


この作品を最初に見たのは、自主制作のアニメーション作家が中心になって企画していたアニメーションイベント「move on web.」の、銀座アップルストアでの上映会でだった。2005年だから、僕は高校二年生かな……この作品を鑑賞して、そのクオリティの高さに心を奪われた記憶がある。一方で本作は一通りのイベント巡回が終わると事実上の封印状態になってしまい、ネットでも長らく鑑賞できない状態が続いていた。そして2012年になって、突如YouTubeで再公開がなされたのだ。

本当に嬉しかった。そして久々に鑑賞して、いろいろな感情が蘇った……。十年前、Bak@Flaで『二二九』を鑑賞したときの喜びが、ここにはもう一度再現されていた。そう、『二二九』で登場したレンレンが、本作でもう一度主人公となっていたのだ。

黄河の水源、無数の湖が広がる「星宿海」は、星が生まれるという伝説を持つ実在の場所。この作品はぜひフルスクリーンで見てほしい。最初の「語り」のシーケンスから、一気に作品世界へと引き込まれるはずだ。レンレンの細かな表情も素晴らしいし、ラストシーンでの跳躍も思わず息を飲む美しさがある。正に「このような世界観」を持っている作家でしか、作り上げることができないアニメーション作品だ。

久しぶりだね、レンレン。いま君は、いくつになっているんだろう。