ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『みゃくみゃく -Drops of Life-』今林由佳【49夜目】

『おにしめ おたべ』を制作した今林由佳の、こちらは二年次作品(大学院なので、二年で修了になる)。『おにしめ~』よりはぐっと内容が「表現」寄りになっているけれど、冒頭、目をとじたままほっぺたをくっつけあう「それら」たちのグラフィックを観た途端から、きっと理屈を越えてときめいてしまうはずだろう。

『おにしめ おたべ』もそうだけれど、これも途中から結構「何を描こうとしているのか」がすぐに判ってしまう。そのスリルや一種のロマン(想像力)を楽しみたい方には、少し不向きな作品かもしれない。非常にゆったりした内容で、途中からまどろんできて、ぼんやり画面を眺めてしまうかもしれない。けれど、どちらも、それでいい。実際と想像の、眠りと覚醒の、そのはざまでも、脈々とわたしや、わたしにとって大切な誰かの身体を、しっかり動かしているのはこの子たちなのだ。

最後の一言がいい。その声があるから、また作品は日常へと還元されてゆく。眠っている間もわたしの中を漂い続けた「なにか」に、この夜も生かされて。……ねえ、あなたへ、「おはよう」。