ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『オオカミとブタ』竹内泰人【11夜目】

日本人の手による「自主制作アニメーション」の、YouTube再生記録ってどの作品だか知ってます? 実は長らく、この作品が日本人トップだと僕は思っていた。現時点でも、何と390万再生。『フミコの告白』が400万再生を突破しこの作品を抜いたのは、実はごく最近のことなのだ(岡田拓也の『CHILDREN』は480万再生で、『オオカミとブタ』はこれも上回っていた時期があった)。……後になって、ていえぬの『CHAINSAW MAID』が660万再生もあったことを、人から教えてもらって驚愕するんだけど。

その後のコマーシャル業界にすら大きな影響を与えることになる「コマ撮りの中のコマ撮り」アイデアは秀逸だし(最初ではないのかな)、何よりとても親しみやすいポップさがある。アニメーションの古き良き基本構成のひとつである「ネコとネズミ」をしっかり踏襲したわかりやすいストーリーで、カルチャーも国籍も越えてちゃんと届くものになっているのは、計画的だったのかな。何しろこういう作品って、素人でも見ていればだいたいこの映像の作り方がわかるわけで、「よく作ったねえ」みたいな共感度もまた、作品の印象にプラスになる。「作った人、すごい!どうやったかわからない!」が一種のステータスになる(なってた時期があった)自主制作アニメーションの世界で、この作品はまたその一つの呪いを解いているようにも感じるのだ。

誰に見せても「かわいい!」ってなる、こういうの。恨めしき“猫動画”じゃなくても、ちゃんとこっちに反撃する術は用意されているなぁ、って、思います。