『たれまゆ』irodori【6夜目】
そりゃもう、ビックリした。『眼鏡』に続くirodoriの第2弾作品は、作画中心の2D作品だったからだ。セリフもなく、叙情的で、4分間でちょっと心がホッとなるような小作。『眼鏡』とは正反対のアプローチだった。
シナリオがしっかり作られているのが見事な作品で、最初の30秒でまずは女の子のことを好きになってもらって、見せ場のシーンがあって、後半ではその子が背負うものを見せて、それを意外なキャラクターに救わせる……、王道のストーリーラインがちゃんと組み立てられていた。内容も、重くなりすぎず、最後にはちゃんと夏雲の爽やかな印象を残して消えてゆく。バッチリだな、と思う。
想像だけれど、たぶんたつき(さん)は、意図的に「ハードルが高い」企画をあえて選んだのだと思う。『眼鏡』は当時のニコニコ動画ランキングを制覇したし、アプローチとしての目論見はいきなり当たっていた。だからこそ次は、チームとしてどこまで行けるか、その試金石としてこの内容を選んだのではないか。
「次回作そのものに、チームとしての次の課題を掲げ、制作することでそれを乗り越える」というたつきのプロデュース・ワークの方向性は、その後の作品を見ていても、よくわかる。
……タイトルだけ、なんつうか、仮であててたものがそのまま通っちゃったような感じで、ちょっとむずがゆい。「次のヒロイン、『たれまゆ』で行くから!」。