ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『ルール』かみやろん【122夜目】

「GIFアニメ」の世界で代表的な作家のひとりだった、かみやろんの代表作。今はもう珍しくないけれど、美少女的なキャラクター・デザイン、ぱりっとした塗り分け、そして女の子の身体のやわらかさまで伝わる上質なアニメートは、当時の他の自主制作アニメーションと比較してもかなり飛び抜けていて、なんか一週回って「COOLさ」を感じさせるものだった。かみやは美大はもちろん、専門学校にも一切通ったことがなく、全て独学でコミュニティの中に飛び込み、技術を身に着けていった作家だった。

GIFアニメの世界にある、一種の「ひたすら一競技にストイックに挑む」ところを保ちつつ、導入部分やごく単純な舞台設定を用意し、そして何より「鑑賞者の心動かす」あの、押すなよ!絶対に押すなよ!なフックをしっかり取り入れたことで、この文脈を知らなくとも、とても見やすいエンタメに富んだ作品に仕上がっている。それでいてかみやの得意分野である、アクションや水の動き、爆発シーンまで抜け目なく入れ込むところも非常にらしいところだろう。真夏の海岸線……という爽やかな舞台設定も、水やアクションの瑞々しさに更にプラスになっているように思える。15年くらい前の作品なんだけれど、今振り返ると、それも込みで一種のノスタルジックになっているのが、いいな……。