ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『ばあちゃん』岡本将徳【113夜目】

岡本将徳は、めちゃめちゃ職人肌タイプのアニメーション作家だ。オリジナル作品においての、(この言葉がふさわしい作家は他にも多く居るけれど)まるでラーメン屋のガンコ親父のような柱の立ったオリジナリティ、哲学、そして誰もが息を呑む超絶テクニック。全ての作品がとにかく「シンプル」で、ただただアニメートにだけ全てが費やされていて、それなのに鑑賞者は、作家がもつ「ある素晴らしい“眼差し”」に捉えられて、そこから目を離せない。

作家としての岡本のその特長は、緻密かつ有機的なその切り絵アニメーションにある。紙の質感が残る切り絵パーツ、そして決して「ぴったりし過ぎていない」アニメートは、人の手の温もりと息遣いを感じさせる。そして対象の小さな仕草すら見逃さない……鋭すぎる観察眼と、それを「動き」で再現しようとする凄まじい情熱・執念。そのアニメーションへの献身ぶりは、スクリーンを通じてこちらにまで燃え移ってくるほどだ。

岡本の初期作から、その「ぶっ飛びぶり」は変わらない。この1本を見ただけでピンと来た方がいたら、勿論うれしいし、そうでない方でも、これから数日かけてこの作家を追いかけてみるので、ぜひ読み進めて頂けたら嬉しい。とにかく、ぶっ飛んでいるのだ。岡本将徳は。