『こうこう | koukou』大橋史【69夜目】
大橋史(パイセン)のオリジナルでは、いちばん好きな作品。『Your Thorn』で“サウンド”に、『CHANNELER』で“言葉”に挑んだドクター大橋研究室が次に目標としたのは、人間が口から発する“音節”、そして“声”の可視化だった。
大橋の作品は当時の「流行」みたいなものを巧みに掴むところがあって、製作当時は、ちょうどノーマン・マクラレンの生誕100年にあたり(厳密には一年前だったかな)、彼の再ブレイクといえる雰囲気が高まっていた*1。その感じも少なからず意識しつつ、大橋のこれまでの研究成果が存分に生かされた内容になっている。一瞬無意味に感じられる「ぱら ぴりぷる ぺら ぽろろん」が、光の軌道を描き、かたちを生み出し、やわらかく泳いで消えてゆく。白の残像にやや青い光が残る、独特のグラフィック処理も素晴らしい。非常に丁寧に作られていながら、音楽そのものの躍動感や興奮を決して失わずに、情熱的にすら感じられるアニメートが繰り広げられる。何て素晴らしい! 若干抽象的すぎるかな? と鑑賞者が思い始めたあたりから、少し具体的なデザインを出したりして、観る人を楽しませ続けようとする工夫も決して忘れていない。このバランス感覚が大好きだ……。
もういちいち書いてないけれど、ちゃんとフルスクリーンで見ようね!
も・ぞ・も・ぞ・こ、うっぞーんぞ!