『おにしめ おたべ』今林由佳【48夜目】
昨日の記事で、久々に『Googuri Googori』を観たら、何となくこの作品も一緒に思い出された。連想ゲームブログです、ここは。
前回に続いて、今度は母と子の対話だ。お台所で、母親の料理を子どもが後ろから眺めている。母親が作っているものが何なのか、まな板の上で切り揃えているものが何なのか、もしかすると娘はまだいちいち把握していないのかもしれない。けれど彼女の目に映る世界には、確かに記憶に留まるような興奮や感動がしっかりとある。そういう瞬間をやさしいタッチで、そして同時に、わくわくするような冒険物語として描き出している作品だと思う。
ある意味、何でもない内容なんだけれど、やっぱりめっちゃいいなァ……。最後に全部煮えてるところで涙が出そうになるな……。鶏もも肉のあのたぷたぷ、ふよふよした感じ、特に「さらに」切り分けるところのシズル感たらない。にんじんがシャキッと切れる所も何度でも観ちゃう。干しシイタケを戻す時間をちゃんと分割しているのもいい……。そうだ、料理って、子どものころ観ていた料理って、確かに、こうだったな。
最後、お父さんを呼びに行くのは、いつだって子どもの役割だ。ととと、と走る直前、シュポッて栓を抜く音がするのは、やっぱりお父さんのための瓶ビールなのかな。
このフィルムもまた「藝大院アニメ」のひとつで、今もバリバリアニメーション仕事をこなす今林由佳の一年次作品だ。「藝大院アニメ」の中でも、さらにキャッチーなほうだと思う。