ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『スピーチ』熱湯【19夜目】

f:id:friendstudio:20170425005624p:plain

FLASH作品をここで取り上げるのは少々躊躇する。今や動画もスマホで見るのがほとんど。だけどFLASHだとスマホじゃ再生できないし、ここにも埋め込めないし……。ということで、興味が出ましたらググって頂けたらと思います。熱湯(さん)の作品はファンも多いので、YouTubeに転載されたりしてるはず……。

FLASHアニメカルチャー発信元のひとつだった、2ちゃんねるFLASH・動画板を中心に活躍したアニメーション作家の熱湯は、思わずクスリとさせられるようなボケ倒しの会話劇が得意技だった。より正確には、「やられ役」のキャラクターに一方的にまくし立てるボケキャラを楽しむというか……。回線がまだ脆弱だった日本のインターネットで、当たり前のように「声付き」のアニメーションが楽しめるようになっていた頃の作品だ。FLASH独特のベクターベースなパキッとした色調や線に、よく映えるグラフィック。そして、そこから生まれるギャップも楽しい。そもそもスクリプトがすげえ面白いし、ツッコミ側の二人も緩くていい(最後のとこに入る前の女の子のセリフが好き*1)。声の人が、いちいち芸達者だ。

熱湯は、オリジナリティにあふれた数々の作品でその名をカルチャーに刻みつけた。そこから比べれば「スピーチ」はわりと平凡な作品だけれど、僕もここから出会ったし、この後の凝った作品から比べれば、わりと入りやすい一本なのではと思う。

*1:「じゃあ、これは、聴いてー帰りーまーす」