ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『JACK NICOLSON』イシバシミツユキ×長田悠幸【15夜目】

前の記事に続き、ところでブッチャーズといえばもうこれ! これですよね!! という作品。こちらはbloodthirsty butchersの公式MVで、漫画家の長田と映像作家のイシバシがタッグを組んで(どういう分担だったかは判らないけど)作られた名作。何とイシバシのアカウントから公式アップされていたぞ!やった!

音楽そのものの男臭さにぴったり寄り添ったグラフィック、その止め絵のカッコよさにシビれまくって、そして主人公はうだつの上がらないサラリーマンで、最後にはまた街の中に戻っていって……。まるでギターのパワーコードをジャカジャーンと掻き鳴らすような快感が全体に貫かれている快作だ。アニメーションならではの魔法ってなーんだ、って、アホが*1散々聞いてくるその問いかけへの、ベストアンサーの一つに選べるくらいの作品だと思う。

フリクリ』感もあるそのジャパンチックな絵柄はキャッチーだし、見せ場でアニメーションの快感を(ライブ会場でカメラが回るカットは、実写では絶対に撮れない……)しっかり見せてくれるところも、コンパクトな尺に感動がグッと詰まっているところも、実に実に素晴らしい。何より音楽のもつメッセージの、昇華のさせ方にしびれる。名作は往々にしてシンプルだ。そしてマヌケで、美しいんだ。こういう作品を埋めさせたくないのですよ……ほんとに……。

*1:僕もその中の一人だけど!