ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『眼鏡』irodori【5夜目】

irodoriがユニークだったのは、スタート当初から「バンドです(チームです)」と銘打っていたことだ。ひとりで作ることが一種のステータスだった自主制作アニメーションに、チーム制作での効率化と化学反応を持ち込もうとした。これは伝聞なので間違っていたら申し訳ないけれど、確か最初はゲーム頒布のサークルからスタートしたと聞いている。だからだったのかな。

2008年に毎月20日投稿をスタート。『眼鏡』は第一弾作品で、投稿当初からは約一年ほどで完結している(計画的だ!)。その後のフィルモグラフィーから比較しても、『眼鏡』は圧倒的に観る人を「楽しませよう」とする魅力や工夫がいっぱいで、盛り込まれている小ネタもめちゃくちゃ面白いし、当時の流行も貪欲に取り入れていて、すごく「ニコニコ動画」という場をわかっている(理解しようとしている)感じが見事だった。コメントの反応で、ここは拾ってくれる! と信じて作られている感じがする。作品としても、最初の主人公のセリフから気合が入りまくっているし*1、その後のボーイ・ミーツ・ガールの王道シーン、序盤の見せ場の作り方まで本当によく仕上げられている。第一話の早い段階から、ちゃんとオチの伏線(主人公が◯◯の時、どうなるか)が張られているのがにくい。CGアニメコンテストの上映会でその部分に気がついて、ひええ! ってなったことをよく覚えている。

『眼鏡』は、DVDを手作りして、同人誌即売会に早くから持ち込んでいたことにも個人的に大いに刺激を受けた。コミティアで、のぼりを立てるポールはどこに売っているんですか、って尋ねたのが、たぶんirodoriさんとのリアルでのファーストコンタクトだったと思う。

*1:<「純粋、純白、純粋、純情、純潔! とにかく、ココロがハァ・ハァする眼鏡!」>。リズミカルできもちいい!