ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

『baby baby feat. minan(lyrical school)』北村みなみ【110夜目】

このサムネで「あれ?まだ見たことないかな?」って思ったキミ!今すぐ見よう!これは最高です。 とにかく絵が可愛すぎるアニメーション作家・北村みなみの2016年の作品。brinqのミュージック・ビデオだ。音楽の良さもあるけれど、ここで北村の絵がただキュ…

『恋桜』北村みなみ【109夜目】

最近の僕のイチオシ、北村みなみの作品のひとつ。昨日の『The Great Little Journey』からおよそ一年前? の作品。長尺なこともあるが、ゆったりとストーリーが進んでゆく。おそらくアシスタントなしで、北村一人で最後まで描き上げたものなのだろう。 はぁ……

『SPACE SHOWER TV ID「The Great Little Journey」』北村みなみ【108夜目】

最近の僕のイチオシ作家を紹介したい。ジャン! 北村みなみである。 ね~~~~~も〜〜〜〜〜ギャン可愛である。なにこれ!?!? かわいすぎ!!!! SPACE SHOWER TVのステーションIDとして作られた『The Great Little Journey』には、トキメキが骨髄を溶…

『星宿海』丸山薫【107夜目】

この作品を最初に見たのは、自主制作のアニメーション作家が中心になって企画していたアニメーションイベント「move on web.」の、銀座アップルストアでの上映会でだった。2005年だから、僕は高校二年生かな……この作品を鑑賞して、そのクオリティの高さに心…

『吉野の姫』丸山薫【106夜目】

丸山薫はイラストレーター・漫画家として活動する一方、2005年ごろはFLASHを用いたアニメーション制作にも本腰を入れていた。本作はFLASHアニメーション作家がユナイトしたイベント・JAWACON2005で初号公開されたほか、多数の映画祭でも上映歴を重ねた。 こ…

『海防点景』丸山薫【105夜目】

この作品をここで紹介するか迷ったんだけれど、ほんとに! こういうスタイルの作品ってあったなぁ〜みたいな気持ちになったし、最後にちょこっとアニメーションもあるから、取り上げてしまうことにした。丸山薫のFLASH作品『海防点景』は、イラストと文字、…

『十一月』丸山薫【104夜目】

秀作『二二九』の後も、丸山はFLASHでのアニメーション制作を継続した。一方で丸山は短編漫画にも優れていて、こういう感じの――短いオチのある作品を作らせると、たまらなくうまい。『十一月』は小品だが、そのバカバカしいインパクトも含めて、観る人をとて…

『ニニ九』丸山薫【103夜目】

とびっきり可愛いアニメーションを紹介したい。 日本の一般家庭に「インターネット」が登場したのは1998年ごろ。1999年には人口普及率21.4%、翌2000年には37.1%に達している。ADSL、iモード、2ちゃんねるが登場し、Google、Amazonが日本でサービスを開始させ…

『Notre chambre われわれの部屋』折笠良【102夜目】

折笠のその制作スタイルは、逆に言えば、コンペに全ての主眼を置いたものでもないし、映画館での興行を目指されたものでもない。エンターテインメントとして仕上がってはいるけれど、最初からそこを狙っているわけでもない(と僕は認識している)。つまり、…

『ことの次第』折笠良【101夜目】

「で、折笠良がすごいのは判ったけど、これってどうお金にコミットするの?」という疑問をもつ方は、少なからずいらっしゃるかもしれない。彼のストイックで孤高なスタイルは、商業の世界と一瞬縁遠いようにも思われる。そんな疑問を、折笠は今年、見事に粉…

『水準原点』折笠良【100夜目】

「この作家を追い続けていれば、いつか、このような作品が観られるのではないか」。そんな奇跡のような予感は、けれど多くの場合、その作品が出来上がったときに“初めて”気が付かされる。本作は、折笠が大学院修了後、仕事をしながらコツコツと彫り続けてい…

『イディオリトミー』折笠良【99夜目】

昨日紹介した『Scripta volant』発表後まもなく、折笠は地元・茨城県のギャラリーで展示を行う。折笠はその期間中に、ある企画を行った。来場者へハガキに自由なイラストを描いてもらい、後ほどそれを集め、アニメーション化するというプロジェクトだった。 …

『Scripta volant』折笠良【98夜目】

(昨日から微妙に続きます)一年がかりでアニメーションを製作して、そして挑んだ僕らの卒業制作展は――会期初日の14時46分で途中中断し、二度と再開されることはなかった。東日本大震災。余震が続く中で撤収作業をした。在庫の山になったカタログやDVDは処分…

『恐竜が死んだ日』倉岡研一【97夜目】

自分の話をします。多摩美の三年次で制作した、「物語に重きをおいたアニメーション」に多少の手ごたえを感じた僕は、次の1年がかりで作る卒業制作に、どうしても――40分間の長編アニメーションがやりたくなった。シナリオは(最終版とはかなり変わったけれ…

『タイムライン』森田仁志・橋本新【96夜目】

唐突ですが! つい最近観た作品をここで紹介する。日本のミュージシャン・クラムボンが今年発表した楽曲「タイムライン」のMVだ。 ふしぎな形の「なにか」が、有機的になったり、無機物になったり、生き物のように見えたり、またそう見えなくなったり……。…

『RUNNINGMAN』児玉徹郎【95夜目】

さて、傑作『MY HOME』を発表した児玉徹郎について触れたい。児玉はいくつかの作品でCGアニメコンテストや、「デジスタ」の黄金期を支えた中心作家のひとりだった。「背景職人」を自称されていたこともあり、作品における背景美術はどれも素晴らしい。しかし…

『MY HOME』児玉徹郎【94夜目】

突然ですが、新海誠やたつき(irodori)、吉浦康裕に石田祐康までをも輩出した……日本で最も歴史の古いデジタルアニメーションコンテスト「CGアニメコンテスト」で、グランプリを獲る方法を教えよう。それ以前にも同コンテストはロマのフ比嘉などを輩出してい…

『公園のトロイ』matsumo【93夜目】

ここ数日取り上げてきたアニメーション作家・matsumoの、現時点で最新シリーズとなるのが『公園のトロイ』だ。FLASHベースだったこれまでの作品から、本作より完全にツールを移行させていて、全編が3DCGで制作されている。 この第三話と第五話、どちらを貼ろ…

『スニャホ』matsumo【92夜目】

生粋のエンターテイナー、matsumoを代表するような作品のひとつ。ここまではFLASHを使った作品が続いていたが、『スニャホ』からは3DCGも取り入れられている。現代モチーフを取り入れながらも極めてベーシックな「敵を倒す」ストーリーで、ものすごくまっと…

『Laika -犬小屋の世界 外伝-』matsumo【91夜目】

昨日の『動物の転校生』にビックリして、仙台から家へ帰ったあと慌ててmatsumo(さん)のサイトを調べたら、発見した作品。小学生~中学生のころ、ネットで見ていたあの『犬小屋の世界』シリーズの、とんでもない外伝作品が発表されていた。 飛ぶ犬小屋、と…

『動物の転校生』matsumo【90夜目】

matsumo(さん)と初めてお会いすることが出来たのは、1999年ごろに「Bak@Fla」で作品がすれ違ってから、実に10年以上後…2013年の宮城・仙台アニメーショングランプリの壇上でだった。僕は『15時30分の拍手喝采』で、matsumoはこの『動物の転校生』で、互い…

『それいけ!おやぢ』matsumo【89夜目】

それにしても*1、matsumoの絵柄は独特だ。たぶん他の作家に紛れていても、この絵ひとつでmatsumo作品だと判るくらいの個性があると思う。彼のこの絵柄のオリジナルがどこにあるのか……とても判りやすい作品を紹介したい。 昨日紹介した『犬小屋の世界』よりも…

『犬小屋の世界』matsumo【88夜目】

僕のもともとの「出身」はFlashだ。1998年か99年ごろ……に、当時日本におけるFLASHの第一人者だったまつむらまきおさん(現 成安造形大学教授)が運営していた作品投稿サイト「Bak@Fla」に参加したことが、アニメーション作家としての最初のきっかけになった…

『Look at Me!』飯田千里【87夜目】

騙されたと思って、フルスクリーンで観て欲しい。スマホ? だめだめ。家で一番大きなモニタテレビを用意して下さい。 藝大院の卒展で、初めてこの作品をスクリーン鑑賞したときの衝撃が凄かった。めちゃくちゃ大画面映えしていたのだ。大きなスクリーンにふ…

『JAM FISH』飯田千里【86夜目】

子どもの頃から、車に乗るのが苦手だった。中は狭いし、移動は長いし、臭いはするし、退屈だし……。愛知方面の田舎に帰るときの、東名高速は特に嫌いだ。渋滞がものすごかった。今でも電車旅が好きなのは、クルマと比べて車内が広くて、降りようと思えばいつ…

『そうじきとおんなのこ』飯田千里【85夜目】

飯田千里は、とびっきりユニークなアニメーション作家だ。 ぶっとい線、記号的かつ親しみやすいイラスト、ビビットな色彩、そしてものすごくシンプルかつ……エンタメ感の高いストーリーテリング! こういう、ごく初期の作品から既に「観ている人を意識して」…

『lilac (bombs Jun Togawa)』ONIONSKIN【84夜目】

結局のところ、ONIONSKINは、作品における「感情」の露出を拒み続けてきたアーティストだったのだと思う。ここ数日観てきたような作品で行われているのは、「表」に出てくる表現技法としての…つまり単にテクノロジーとしてのアニメーション表現の追求。そし…

『煙夜の夢 a,香水壜と少女 b,空虚な肖像画 c,煙夜の夢(夜が固まる前)』ONIONSKIN【83夜目】

鑑賞した当初、度肝を抜かれた作品。 森は生きている(というバンド名です)の17分にわたる組曲にMVをつける、という「ヤメテアゲテヨ!」みたいな依頼内容もさることながら、作り上げてきたのはまさかのワンシーン・ワンカット。しかもスライド板を、素手で…

『endless summer』ONIONSKIN【82夜目】

自分は、『フミコの告白』〜『Airy Me』の辺りで、『ほしのこえ』『ホーム』以来続いていた日本の「自主制作アニメーション」の系譜は“一旦”途切れていると思うんだけれど、この作品に携わる小野ハナは、正にその「途切れた後」から頭角を現した、今イケイケ…

『都市計画』ONIONSKIN【81夜目】

昨日さんざん「ONIONSKINの作品には連続性がない」などと書き散らしてしまったが、これと昨日の『おわかれ』とは多少の連続性があるかもしれない。昨日はコマ撮り、こちらは2Dのアニメートだが、メンバーの菅谷愛のセンスがよく生かされた上品なミュージック…