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「この作家を追い続けていれば、いつか、このような作品が観られるのではないか」。そんな奇跡のような予感は、けれど多くの場合、その作品が出来上がったときに“初めて”気が付かされる。本作は、折笠が大学院修了後、仕事をしながらコツコツと彫り続けてい…
昨日紹介した『Scripta volant』発表後まもなく、折笠は地元・茨城県のギャラリーで展示を行う。折笠はその期間中に、ある企画を行った。来場者へハガキに自由なイラストを描いてもらい、後ほどそれを集め、アニメーション化するというプロジェクトだった。 …
(昨日から微妙に続きます)一年がかりでアニメーションを製作して、そして挑んだ僕らの卒業制作展は――会期初日の14時46分で途中中断し、二度と再開されることはなかった。東日本大震災。余震が続く中で撤収作業をした。在庫の山になったカタログやDVDは処分…
自分の話をします。多摩美の三年次で制作した、「物語に重きをおいたアニメーション」に多少の手ごたえを感じた僕は、次の1年がかりで作る卒業制作に、どうしても――40分間の長編アニメーションがやりたくなった。シナリオは(最終版とはかなり変わったけれ…
唐突ですが! つい最近観た作品をここで紹介する。日本のミュージシャン・クラムボンが今年発表した楽曲「タイムライン」のMVだ。 ふしぎな形の「なにか」が、有機的になったり、無機物になったり、生き物のように見えたり、またそう見えなくなったり……。…
さて、傑作『MY HOME』を発表した児玉徹郎について触れたい。児玉はいくつかの作品でCGアニメコンテストや、「デジスタ」の黄金期を支えた中心作家のひとりだった。「背景職人」を自称されていたこともあり、作品における背景美術はどれも素晴らしい。しかし…
突然ですが、新海誠やたつき(irodori)、吉浦康裕に石田祐康までをも輩出した……日本で最も歴史の古いデジタルアニメーションコンテスト「CGアニメコンテスト」で、グランプリを獲る方法を教えよう。それ以前にも同コンテストはロマのフ比嘉などを輩出してい…
ここ数日取り上げてきたアニメーション作家・matsumoの、現時点で最新シリーズとなるのが『公園のトロイ』だ。FLASHベースだったこれまでの作品から、本作より完全にツールを移行させていて、全編が3DCGで制作されている。 この第三話と第五話、どちらを貼ろ…
生粋のエンターテイナー、matsumoを代表するような作品のひとつ。ここまではFLASHを使った作品が続いていたが、『スニャホ』からは3DCGも取り入れられている。現代モチーフを取り入れながらも極めてベーシックな「敵を倒す」ストーリーで、ものすごくまっと…
昨日の『動物の転校生』にビックリして、仙台から家へ帰ったあと慌ててmatsumo(さん)のサイトを調べたら、発見した作品。小学生~中学生のころ、ネットで見ていたあの『犬小屋の世界』シリーズの、とんでもない外伝作品が発表されていた。 飛ぶ犬小屋、と…
matsumo(さん)と初めてお会いすることが出来たのは、1999年ごろに「Bak@Fla」で作品がすれ違ってから、実に10年以上後…2013年の宮城・仙台アニメーショングランプリの壇上でだった。僕は『15時30分の拍手喝采』で、matsumoはこの『動物の転校生』で、互い…
それにしても*1、matsumoの絵柄は独特だ。たぶん他の作家に紛れていても、この絵ひとつでmatsumo作品だと判るくらいの個性があると思う。彼のこの絵柄のオリジナルがどこにあるのか……とても判りやすい作品を紹介したい。 昨日紹介した『犬小屋の世界』よりも…
僕のもともとの「出身」はFlashだ。1998年か99年ごろ……に、当時日本におけるFLASHの第一人者だったまつむらまきおさん(現 成安造形大学教授)が運営していた作品投稿サイト「Bak@Fla」に参加したことが、アニメーション作家としての最初のきっかけになった…
騙されたと思って、フルスクリーンで観て欲しい。スマホ? だめだめ。家で一番大きなモニタテレビを用意して下さい。 藝大院の卒展で、初めてこの作品をスクリーン鑑賞したときの衝撃が凄かった。めちゃくちゃ大画面映えしていたのだ。大きなスクリーンにふ…
子どもの頃から、車に乗るのが苦手だった。中は狭いし、移動は長いし、臭いはするし、退屈だし……。愛知方面の田舎に帰るときの、東名高速は特に嫌いだ。渋滞がものすごかった。今でも電車旅が好きなのは、クルマと比べて車内が広くて、降りようと思えばいつ…
飯田千里は、とびっきりユニークなアニメーション作家だ。 ぶっとい線、記号的かつ親しみやすいイラスト、ビビットな色彩、そしてものすごくシンプルかつ……エンタメ感の高いストーリーテリング! こういう、ごく初期の作品から既に「観ている人を意識して」…
結局のところ、ONIONSKINは、作品における「感情」の露出を拒み続けてきたアーティストだったのだと思う。ここ数日観てきたような作品で行われているのは、「表」に出てくる表現技法としての…つまり単にテクノロジーとしてのアニメーション表現の追求。そし…
鑑賞した当初、度肝を抜かれた作品。 森は生きている(というバンド名です)の17分にわたる組曲にMVをつける、という「ヤメテアゲテヨ!」みたいな依頼内容もさることながら、作り上げてきたのはまさかのワンシーン・ワンカット。しかもスライド板を、素手で…
自分は、『フミコの告白』〜『Airy Me』の辺りで、『ほしのこえ』『ホーム』以来続いていた日本の「自主制作アニメーション」の系譜は“一旦”途切れていると思うんだけれど、この作品に携わる小野ハナは、正にその「途切れた後」から頭角を現した、今イケイケ…
昨日さんざん「ONIONSKINの作品には連続性がない」などと書き散らしてしまったが、これと昨日の『おわかれ』とは多少の連続性があるかもしれない。昨日はコマ撮り、こちらは2Dのアニメートだが、メンバーの菅谷愛のセンスがよく生かされた上品なミュージック…
ONIONSKINを語るのは難しい。自分は長らく、このアーティストの「芯」の部分が見えなかったのだ。 このブログをずっと読んで下さっているならば、ぼくが「自主制作アニメーション」にどうしても求めてしまう核の部分を読み解いて頂けているかもしれない。た…
ここ数日かけて紹介してきた一瀬と上甲は、実は同じ東京工芸大学の同期生で、現在はデコボーカルというユニットを組み活動している。これまで数々のショートアニメや、クライアントワークでその腕をふるっているけれど、そんなデコボーカルから一本ご紹介。 …
懐かしいなァ……。第15回学生CGコンテストのグランプリ作品だ。同じ年の同期は『中学星』の清水誠一郎、『ひとりだけの部屋』の野山映、『向ヶ丘千里はただ見つめていたのであった』の植草航、『輝きの川』の大桃洋祐などだ(ちなみに山田園子『family』、大…
おととい紹介した一瀬の衝撃作『かなしい朝ごはん』は、無理にジャンル分けすれば「ナンセンス」アニメとも呼べるものだと思う。一瀬の代表作『ウシニチ』は、その「ナンセンスさ」をさらに進めたような作品だ。 シンプルなドローイングのアニメーションで淡…
上甲作品の大きな魅力は、その卓越したグラフィックだ。このキャラクターが「何で」出来ていて、触ってみるとどうなるのか、持ち上げるとどうなるのか……その「触」感の違いが、惜しげも無くアニメートで表現される。ちょっとズルして大雑把になってしまいそ…
「美大生が作るアニメーション」を少なからず観てきていると、ストーリー展開にある程度予想がついてきてしまうことがある。……イヤ、とはいえ、誰でもアニメーションを作ることが出来るし、似かよったものを作るかもと辞めてしまうくらいなら、それでも作っ…
映像の世界は、(大小問わず)あらゆる技術革新と切っても切り離せない関係にある。一枚一枚手で描かなければ動かせなかった2Dアニメーションにも、様々な新しいツール、そしてテクノロジーが発明され、その参入の敷居を下げ続けてきた。 「パペットツール」…
やっぱりこういう、クレイジーな作家なのだ。アオキタクトは。 処女作『ハルヲ』を発表後、その勢いのままに商業資本での長編作品『アジール・セッション』を上梓したアオキタクト。そこからほとんど間を空けず制作された本作では、いきなりそのアプローチを…
たまにこういう、クレイジーな作家が現れてしまうのである。 前職はロックバンドのヴォーカル。いきなり前知識も何もなく3DCGソフトを買って、とりあえずひとりで全部作ってみた処女作が30分28秒のガチ長編*1アニメーション。どうしてそうなるんだ!? 貧困…
大橋のごく最近の作品も挙げておこう。リリックビデオの隆盛もあり、ここ数年は「文字」アニメートの仕事が目立つ大橋の、その代表作とも言える一本だ。 声とエレキ・ギターだけの静かなイントロに、ふわりと言葉が浮かび上がる冒頭。そして物語は急加速し、…