ショートアニメーション千夜千本

短編アニメーション作品を紹介してゆきます。まだ見ぬ作品に触れる機会にして頂ければ幸いです。

村田朋泰

『糸』村田朋泰【132夜目】

人形アニメーションを中心に、人々の記憶の戸をたたくようなセンチメンタルなアニメーションを紡ぎ続ける村田朋泰。おしまいに、あまり知られていない村田の名作を紹介したい。代表作「HERO」を発表したMr.Children・桜井和寿が参加する別ユニットBank Band…

『松が枝を結び』村田朋泰【131夜目】

『木ノ花ノ咲クヤ森』より始まった、村田の「震災五部作」*1最新作。このシリーズでは最も村田の人気作品に近い作風で、可愛らしいキャラクターがアイコンタクトを交わし、どこかなつかしい景色が巧みな表現によって描かれて、そしてそれらが……大津波により…

『天地』村田朋泰【130夜目】

『木ノ花ノ咲クヤ森』に続く「震災三部作」(この言い方は僕の独自のものです)二作目は、村田のフィルモグラフィ史上でも異質な(たぶん)実験映像的作品として『天地』に結実した。炎が湧き上がり、大地が映され、水が流れて、土を削りその形を変えてゆく…

『木ノ花ノ咲クヤ森』村田朋泰【129夜目】

『路』シリーズから10年あまり、村田の待望の新シリーズは、「震災三部作」とも呼ぶべきコンセプチュアルな作品として発表された。その始まりを告げるのが、この『木ノ花ノ咲クヤ森』だ。 歪んだ太陽が照らす灰色の森の中。異形の姿をした主人公がその荒野を…

『森のレシオ』村田朋泰【128夜目】

人形アニメーション作家・村田朋泰の、また別のアプローチの作品群についても触れておこう。叙情的で、どこかなつかしい作品を数多く手がける村田だが、本作はそれがちょっと異なっている。真っ白のフェルトや糸で作られた世界に住む少女・レシオと、毛むく…

『家族デッキ』村田朋泰【127夜目】

や~~~も~~~良かった~~~!!!アニメーション作家・村田朋泰が『路』シリーズ以後に手掛けた、下町の小さな理容店を舞台にしたミニ・シリーズ。それが『家族デッキ』だ。 ファーストカットから抜群だった。木造の小さな家、やさしく響く環境音。お母…

『白の路』村田朋泰【126夜目】

Mr.Childrenのキャリアを代表するミュージック・ビデオとして、そして55万枚を売り上げた大ヒット・シングル『HERO』のジャケット・アートとして、あまりにも有名な『白の路』は村田の代表作と言えるだろう。だが『HERO』のミュージック・ビデオが、あくまで…

『朱の路』村田朋泰【125夜目】

数年前の藝大院の上映に行ったとき、村田朋泰がトークゲストで呼ばれていて、久々にこの『朱の路』を鑑賞した。観終えた後、ああ、やっぱりすごい、と思って、魂ごとスクリーンへ持ってゆかれた記憶がある。やっぱり、本当に、圧倒的だった。ただし一方で、…

『睡蓮の人』村田朋泰【124夜目】

本ブログで主に取り扱っているのは、新海誠『彼女と彼女の猫』が登場し、NHK衛星第一で「デジタル・スタジアム」が放送開始された2000年前後より現在に至るまでの日本の「短編アニメーション」についてだ。簡単に整理しておくと、1997年に文化庁メディア芸術…